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2023/12/29

歯の移植(抜歯になった歯の代わりに親知らずを使う)

こんにちは。

 

以前のブログで親知らずは抜歯したほうがいいですと書きましたが、

 

親知らずが残っていてそれが利用できるケースがあるのでご紹介します。

 

親知らずが利用できるケース、それは『歯の移植』です。

 

抜かないといけなくなってしまった歯のところに、機能していない余っている歯を移植する方法です。

 

通常、歯を抜いた後、歯がなくなった穴を回復する方法は、

①インプラント

②ブリッジ

③入れ歯

の3通りです。

 

そして条件が整うと4番目の

④歯の移植

が可能です。

 

歯の移植のメリットは

・インプラントをしなくても

①ブリッジのように前後の歯を削らなくて済む

②ブリッジのように前後の歯の力の負担が増えない

・機能的に他の歯と同じように咬める

・骨が足りない部分への人工骨移植が不要

などが挙げられます。

 

歯の移植のデメリットは

・高齢者には適応できない。

 10代や20代のように若い人の方が成功率が高いです。

 50歳を超えると成功率が下がると感じています。60歳以上では当院では行っていません。

 

こちらの患者様は

 

レントゲンの矢印の下の奥歯が歯の根っこが折れて、

 

骨に膿がたまっており、治療は不可能で抜歯が必要と判断しました。

 

図1

 

図1

 

患者様の希望として、入れ歯は避けたいのと、

 

できればインプラントも避けたいとのことでした。

 

今回のケースは抜歯する歯の前後に歯があるので、

 

ブリッジが可能ですが、

 

1番奥の歯は親知らずで、清掃性や力学的な観点、

 

奥の奥まで精密な型を取るのことが難しい技術的観点、

 

嘔吐反射が強くて1番奥まで磨きにくい

 

などの理由から今回は歯の移植を選択しました。

 

 

 

 

年齢が50歳でしたので、

 

移植の成功率を上げるために、

 

移植歯を抜く前に歯に4週間ほど矯正力をかけています。

 

C23.sc

 

 

今回はさらに成功率を上げるために、

 

移植時にエムドゲインという歯周再生外科に用いる材料を使用しています。

 

図2

 

膿が広くたまっていて、

 

骨の欠損も大きく、炎症も強かったため、

 

抜歯後、抜歯した部位の炎症が落ち着くまで

 

3週間ほど待ってから移植を行いました。

 

 

C46.sc

 

 

図3

 

 

移植後3週間ほど待って、

 

移植歯の動揺が収まってから根の治療を行います。

 

 

3週間待っている間に1本前の歯のむし歯の治療も行っています。

 

根の治療も終え、

 

移植歯の動揺もなくなり、

 

歯周ポケットもないことを確認して、

 

後は被せる治療を行い、治療終了です。

 

C69.sc

 

 

C74.sc

 

P5.pano

 

他の歯と同じように咬めて、ブラッシングなどのメインテナンスも同じです。

 

 

 

 

こちらの患者様は矢印の折れてしまった歯を抜歯して、

 

反対側の機能していない親知らずを移植しました。

 

図4

 

図5

 

P6.pano

 

C85.sc

 

P10.pano

 

C148.sc

 

 

 

 

 

こちらの患者様は横に埋まっている親知らずが原因で、

 

1本前の歯の骨が大きく溶けて、

 

歯根全周に細菌がこびりついており、

 

抜歯しないといけない状態でした。

 

図6

 

図8

 

親知らずの歯根の状態はキレイで感染がないため、

 

前の歯を抜歯して、親知らずを移植しました。

 

 

2019-07-31 930山本 美和(C46)     図7

手前の歯                 親知らず

 

 

P2.pano

 

C50.sc

 

C91.sc

 

C100.sc

 

 

P4.pano

 

今回は成功しましたが、チャレンジングなケースでした。

 

むし歯や歯根破折で抜歯より、

 

重度歯周病で抜歯の方が移植の成功率は低いと思われます。

 

 

 

 

このように条件が整えば

 

歯の移植は

 

患者様にとってメリットが多い治療方法だと思います。

 

 

ただ、以前のブログでも触れましたが、

 

親知らずがあるデメリットを

 

とても多く日常臨床で感じていますので、

 

後で使えるかもしれないから親知らずを取っておくより、

 

親知らずのせいで手前の歯がダメにならないように

 

可能な限り親知らずは抜歯したほうが、

 

患者様の生涯を考えてプラスになることが多いと実感しています。

 

 

 

 

 

 

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