こんにちは。
以前、接着ブリッジのブログを書きましたが、
今回は、接着ブリッジで治療することは難しいが、
両サイドの歯は削らないブリッジの方法を紹介します。
こちらの患者様は
右上の前歯を1本失って、接着ブリッジを希望されて来院されました。
インプラントによる治療はしたくないし、
入れ歯は今まで使用していたがもうしたくない、
という強い希望もありました。
インプラントも入れ歯もないのであれば
残りの選択肢はブリッジです。
通常のブリッジはこのように失った歯の前後の歯を削って、3本つながった被せ物を被せます。
患者様はなるべく歯を削りたくないという希望もありました。
また、歯がないところにきれいな歯を治療して入れても、
失った原因を改善していなければ
再度同じ歯を失ってしまうリスクは高いです。
今回この歯を失ってしまった大きな理由の1つに
下の前歯が本来の位置より前に飛び出している事が挙げられました。
下の前歯が飛びだしているため、咬むたびに上の前歯を突き上げて、
上の前歯に力がかかりすぎたことにより、歯が折れてしまったと考えられました。
下の前歯の前への飛び出しを改善することで、
前歯を審美的にかつ機能的に回復し、
治療後に長持ちする状態が得られることを患者様に説明しました。
右側の②の歯は
むし歯もなく、治療経験のないきれいな状態である。
以上のことから
ブリッジの土台として①の歯を削ることはメリットや妥当性があるが、
②の歯は削らなくて済むならその方が望ましいと判断しました。
1本の歯の土台のブリッジは保険適応外となりますが、
今回は失った部分に対して、
1本の歯を土台としたブリッジで治療することが
審美性、機能の改善とそれを長期に維持することに対して
最小限の侵襲で最大限の効果が得られると判断しました。
また、前歯だけではなく、他のむし歯や嚙み合わせの問題に対しても、全体的に並行して治療してきました。
全体の仮歯を2回作り直し、機能、審美性、咬み合わせ、咬み合わせの平面等を煮詰めて口腔内全体の機能を改善してきました。
治療期間は1年半ほどかかりました。
患者様は元々、前歯を1本失ったことだけに困って来院されました。
ただ、前歯を失ったのはそこだけの問題でないことをお伝えして、
また他の歯にあるリスクや全体に潜んでいる問題を共有し、
全体を改善することが出来ました。
治療終了はゴールであり、スタートでもあります。
今後はこの状態を維持していくためのメインテナンスです。
健康で快適な生活を送るため、
患者様、担当衛生士、私の3人4脚で
今後はメインテナンスを継続していきます。
©Machida Mary Dental Office