今日はセラミッククラウンによる審美治療のお話をしようと思います。
こちらの写真でどの歯が被せ物かお分かりにますでしょうか?
治療前の写真がこちらです。
数年前に治療した上の4本の前歯の
タイルのような透明感のない真っ白な色と、のっぺりとした形の違和感と、
また、歯と被せ物の間に隙間があることを気にされていました。
被せ物と歯の間に隙間があるとそこから虫歯になってしまいます。
審美障害(見た目の問題)とマージン不適合(被せ物が歯にあっていない状態)によって
この4本の前歯の被せ物の治療を行うことになりました。
さらにこの4本の被せ物は連結されて一塊の被せ物として作られていました。
連結する必要のない歯を連結することは、
不潔になりやすかったり、歯に過剰な力が伝わったりしてしまうため
行うべきでないと考えています。
元々の被せ物を外すと、歯と歯の間が磨けない状態が続いていたため、
プラークがたまり、歯肉が真っ赤に炎症している状態でした。
最終的な被せ物を製作する前に仮歯を製作し、
その仮歯を使用し、お口の中で形、噛み合わせ、磨きやすさ、歯肉との調和
などを煮詰めていきます。
仮歯製作の際、担当技工士と歯の形について
・歯の先端の位置はどこに設定するか
・歯の長さ(お顔と口元が調和する歯の長さ)
・歯の前後的な位置(引っ込めるか、このままか)
・歯の形(丸みのある形か、シャープな形かなど)
・4本の大きさのバランス
などを相談します。
今回はのっぺりかつ大きく見えるのを改善するために
かみ合わせのバランスを見ながら
元々の被せ物より内側に歯が並ぶように、
また4本連結しないで1本1本の歯を単独で製作しました。
仮歯を製作してもらい
装着します。
土台の歯と隙間のない仮歯を装着し、歯科衛生士により正しいブラッシングの仕方をお伝えし、
また、ご自身で取れない歯石等を機械で取ってきれいにし、歯肉の炎症を改善します。
歯肉の腫れが引いたのち歯肉の高さが左右で異なることが分かりました。
左右の歯で歯槽骨の中の位置の違いから歯肉の厚みが変わり、
そのことによって歯肉の高さに違いが出ていました。
歯肉の高さの違いを、仮歯を使って整えていきます。
歯肉の中に入る部分の被せ物の長さや厚みを調整し、
連続した歯肉のラインになるよう、調整を2~3週間ごとに繰り返します。
連続した歯肉のラインは見た目がきれいになるのはもちろんですが、
磨きやすく、清潔を保ちやすいことも大きなメリットです。
仮歯の調整が終わり、最終の被せ物の型採りの前の状態です。
歯肉の炎症もなく、形も整っています。
オールセラミッククラウンの中でも、より自然な見た目を再現できる
何種類ものセラミックを少しずつ盛って焼き上げる工程を、何度も繰り返す、
高い技術が必要なセラミッククラウンを製作しました。
非常に自然な仕上がりで、患者さんにも非常に喜んでいただけました。
高いクオリティの結果を迎えるためには、治療期間が長くなることもあります。
長い治療期間は、患者さんにとっては大変なのですが、
ゴールを迎えると、必要な治療期間だったのだと理解していただけることが多いです。
見た目がきれいであることはもちろん大事です。
それと同時に、健康な状態が維持でき、歯が長持ちすることの方が
もっと大切だと考えています。
長持ちするための健康な状態に改善するのは
私や技工士、歯科衛生士だけではできません。
患者さんの日々のブラッシングがとても大切です。
今回は患者さんの日々の丁寧なブラッシングの協力により
いい結果を迎えられました。
これからはまた患者さんと私、衛生士、3人4脚でメインテナンスを行っていき
この状態を維持していきたいと思っております。
©Machida Mary Dental Office