今回はセラミックインレーを使った、歯をできるだけ削らない治療をご紹介します。
患者さんの痛みがある部位を拝見しますと、
メタルインレーという部分的な金属が詰められている歯でした。
[caption id="attachment_318" align="alignnone" width="300"] 金属の周りの歯の中が黒くなっています。[/caption]
金属を外してみますと、中に深い虫歯がありました。歯と金属の隙間からできた虫歯でした。
マイクロスコープを用いて慎重に虫歯を取っていきましたが、残念ながら虫歯が神経まで到達していて、
根の治療(神経を取って、根の中を密閉する材料を詰める)が必要でした。
[caption id="attachment_324" align="alignnone" width="200"] ピンクに染まっている部分が虫歯です[/caption]
[caption id="attachment_320" align="alignnone" width="300"] 根の治療終了[/caption]
マイクロスコープ下での根の治療の終了後、歯の形を回復する治療を行います。
神経を取った歯に、元々入っていたのと同じメタルインレーを製作することは歯を失うリスクが高いと考えています。
将来歯が真っ二つに割れてしまうリスクが高いからです。
歯よりもとっても硬い金属を歯の中に入れることにより、
金属が「くさび」となって、神経を取った歯を割ってしまうことは少なくありません。
神経を取った歯の「割れるリスク」を下げることが、その歯を長持ちさせることの重要なポイントだと考えています。
そのため、従来の考え方では歯全体を削って被せることが、歯が割れるリスクを下げる方法でした。
樽に「たが」を嵌めるイメージと同じで、歯を全部被せることで、パカッて割れるのを防ぐイメージです。
ただ、デメリットもあります。被せるために「健全な部分の歯も削らないといけない」ことです。
また、保険治療で大臼歯を被せると金属の被せものになるので、見た目的にも優れていませんでしたし、
歯科金属アレルギーのリスクもあります。
条件が整っているときに、当院がお勧めするのは、「e-max」という種類のセラミックを使用した部分的なインレー(詰め物)です。
①残っている歯質を必要以上に削ることなく、
またセラミックと歯質を接着することで、②すき間からの虫歯の再発のリスクを下げ、
③強度も十分あり、また十分研磨すれば咬み合わせの歯を傷つけず、
④プラークも付きにくく清潔で、
⑤元々の歯と同様の見た目(高い審美性)がある、とメリットが多い方法です。
デメリットは保険治療ではないので、費用がかかる点と、すべてのケースに適応できない点です。
残っている歯質が少なく薄いと、治療後に歯が割れてしまうリスクがありますので、
適応できるかどうかは、ケースごとに診断させていただきます。
今回のケースは根の治療後、グラスファイバーという材料を使用し、歯の穴の深い部分の形態の修正と歯質の補強を施し、このセラミックインレーを使用し、歯の形を回復しました。
この歯が長持ちするように、今後はメインテナンスに移行していきます。
ご興味のある方はスタッフまでお気軽にご相談ください。
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